コラム
2026/03/16
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美容医療のカウンセリングをしていると、よく聞く言葉があります。
「顔の脂肪は財産だから、取らない方がいいですよね?」
これは完全に間違いではありません。ただ、そのまま鵜呑みにするのは危険です。
結論から言うと、顔の脂肪は“財産にもなるし、負担にもなる”ものです。
重要なのは脂肪の量ではなく、「どこにどう配置されているか」です。

実際、老けて見える人や、垢抜けない印象の人には共通点があります。
それはチークトップの位置が低いことです。ひとつの目安として、小鼻のラインより下にチークトップがある場合、顔全体の印象は一気に重たくなります。
なぜなら、顔の印象は「重心」で決まるからです。チークトップが低いと顔の重心が下がり、下半分にボリュームが集まって見えます。顔の重心は加齢とともに自然と下がっていくため、もともと重心が低い人は、それだけで老けて見えやすい構造になっています。

では、その原因は何か。多くの場合、それは骨ではなく脂肪の位置です。脂肪は時間とともに、宙に消えてなくなるわけではなく、重力によって下に移動します。
若い頃は頬の高い位置にあった脂肪が、年齢とともにほうれい線や口元、フェイスラインへと落ちていきます。その結果、顔の下半分にボリュームが集まり、重心が下がり、たるんで見えるようになります。
ここで「脂肪は財産」という考え方が問題になります。確かに脂肪は若々しさにとって重要な要素ですが、それは脂肪が“正しい位置”にあるときです。
下垂して弛んだ脂肪は、若さの象徴(財産)ではなく、むしろ顔を下に引っ張る“オモリ”(負の遺産)になります。
想像してみてください。口横のいわゆる”ブルドック”のような下膨れがある方が、”かわいい”、”若々しい”となるでしょうか?
ほうれい線の上に溜まった脂肪が、”若さの象徴”、”あったほうがいい”となるでしょうか?以下の症例を見ていただければ、一目瞭然だと思います。


さらによくある間違いが、そこにヒアルロン酸を足してしまうケースです。例えば、ほうれい線や、マリオネットライン。一時的に改善したように見えても、重さが増えることでさらにたるみ、長期的に状態を悪化させてしまうこともあります。まさに”泣きっ面に蜂”です。
脂肪が乗っかってほうれい線を形成している場合は、それを”埋める”ことで誤魔化すのではなく、乗っかってる脂肪を減らすべきです。”プラス”ではなく、”マイナス”の治療を選ぶべきです。

例えば、チークトップ付近や将来コケてくる頬骨の下の部分はポジティブゾーンであり、ここがふっくらしていることで若々しさや多幸感が生まれます。
一方で、ほうれい線上やマリオネットライン付近、フェイスライン上はネガティブゾーンで、ここは重さを生み、顔の重心を下に引っ張る要因になります。
具体的には、ナゾラビアルファットやメーラーファットを適量だけピンポイントで調整し、後方に引いて癒着させる(ミッドチークバックリフト®)ことでほうれい線上の脂肪が減り、頬肉による鼻埋もれが改善します。

ここで誤解してほしくないのは、「脂肪は取ればいい」という話ではないということです。脂肪が多すぎると野暮ったく見え、少なすぎるとこけて貧相に見える。重要なのは、その人にとっての最適なバランスを術者が見極めることです。
加えて、無くすべきところをピンポイントでなくす技術も術者には必要です。ダイナミックな体の脂肪吸引とは違い、顔は多くの脂肪区画に分かれており、より繊細な吸引テクニックが求められます。
ミッドチークバックリフト®についてはYouTubeでも解説しています。ぜひご覧ください。

そしてもう一つ重要なのがタイミングです。皮膚の伸縮性は20代をピークに低下していきます。若いうちは皮膚がしっかり縮むため、脂肪を減らしてもたるみにくいです。一方で年齢を重ねると皮膚が余りやすくなり、脂肪を取るだけでは相対的に皮膚が余り、切開リフトや高周波などの治療が必要になることもあります。
実際に「もっと早くやっておけばよかった」という声は少なくありません。皮膚の伸縮性が保たれている間に施術するに越したことはありません。これは決して急かしているわけではないですが、事実です
だからこそ、「弛む前にオモリを取る」という考え方が重要になります。一度弛んだものを引き上げて維持するよりも、弛まないように維持する方が簡単です。将来的に下に溜まってくる脂肪は、早い段階で適切に調整しておくことに意味があります。
最後に。顔には、残すべき脂肪と、減らすべき脂肪があります。脂肪は一律に財産ではありません。骨もまた、加齢によって変化していく組織です。大切なのは、”全部残す”ではなく、”どこに、どれくらいあるかです。
顔の印象は、量ではなくバランスと重心で決まります。顔の脂肪は財産ではなく、“配置がすべて”なのです。
一概に「取らない方がいい」とは言えません。
重要なのは脂肪の“量”ではなく“配置”です。チークトップ付近などボリュームがあった方が若々しく見える部位は残し、ほうれい線上やフェイスラインなど下顔面に重心を落とす部位は適切に減らすことが有効です。
状態によりますが、脂肪が乗ってできているほうれい線には適しません。
脂肪の“重さ”で溝ができている場合、ヒアルロン酸でさらにボリュームを足すと長期的にたるみを助長することがあります。このケースでは、原因となっている脂肪を減らす「マイナスの治療」が適しています。
適切な部位選択と吸引量であれば、コケることはありません。
顔には「ポジティブゾーン(残すべき脂肪)」と「ネガティブゾーン(減らすべき脂肪)」があります。ポジティブゾーンを温存し、ネガティブゾーンのみをピンポイントで調整することで、若々しさとシャープさを両立できます。
年齢と皮膚の伸縮性によって判断が変わります。
若年層で皮膚の収縮力が保たれている場合は、まず脂肪の調整のみで十分なケースが多いです。たるみが進行している場合は、脂肪調整に加えて高周波治療や切開リフトを組み合わせる必要があります。
脂肪は“減る”だけでなく“下に移動する”ためです。
問題になるのは、下垂して下顔面に溜まった脂肪です。将来的に重心を下げる原因になる脂肪は、早い段階で適量を調整しておくことで、たるみの進行を抑制できます。
皮膚の伸縮性が保たれている早い段階が有利です。
20代〜30代前半は皮膚の収縮力が高く、脂肪を減らしてもたるみにくい時期です。年齢とともに皮膚が余りやすくなるため、早期に重心を整えることが将来的なメンテナンスを軽くします。
中顔面の脂肪(メーラーファットやナゾラビアルファット)を後方へ移動・固定し、チークトップを高くする施術です。
ほうれい線上の脂肪を減らしながら、頬の高い位置にボリュームを再配置することで、顔の重心を上げ、若々しい印象に整えます。
個人差はありますが、腫れや内出血は1〜2週間程度が目安です。
細いカニューレを使用した顔の脂肪吸引は、体の脂肪吸引に比べてダウンタイムは軽度です。大きな腫れは数日〜1週間、内出血はメイクでカバー可能な程度に落ち着くことが一般的です。
加齢は止められませんが、進行を遅らせることは可能です。
下顔面の余分な脂肪を減らし、重心を上げておくことで、将来的に下垂してくる組織量を減らすことができます。結果として、たるみの出方が緩やかになります。
骨格、脂肪の分布、皮膚の厚みと弾力、表情筋の動きなどを総合的に評価します。
単純に脂肪量だけを見るのではなく、「どこにどれくらいあるか」「将来どこに移動するか」を踏まえて、最適なバランスを設計します。

監修者
院長柳川 央徒
【バブみ輪郭】
数ヶ月先まで予約が取れない、日本で唯一 "バブみ"に特化した輪郭整形専門医。
小顔治療通算3000例以上。
他院修正、著名人も、多く担当。