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2024/09/15

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術後に拘縮が起きた場合の対処法とは?焦らず消えるのを待とう

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手術後に患部が硬くなる「拘縮」。今回は拘縮が起こるメカニズムや対処法について紹介します。
治癒が進む過程で必ず発生するのが拘縮なので、必要以上に不安を覚えなくて大丈夫です。拘縮について理解して、焦らず対処できるようになりましょう。

拘縮って何?どんな時に起こるの


拘縮とは、組織が一時的に硬くなり、動かしづらくなることです。例えば、顔の脂肪吸引した場所は、術後しばらくすると拘縮により硬くなります。触ると凸凹した感じがあったり、上を向いた時に引っ張られて向きづらかったりということが起こります。

「脂肪の取り残しや医療ミスなのではないか」と不安になってしまうかもしれませんが、拘縮は3ヶ月〜半年程度経つと自然に消えるので、焦らず放っておきましょう。

そもそも拘縮が起こる仕組みとは

そもそも、拘縮とはどのような仕組みで起こるのでしょうか。顔の脂肪吸引のケースで説明します。

まず、人間の体は4層構造になっています。一番下が骨、その上に筋肉、さらにその上に脂肪、一番上が皮膚です。脂肪吸引は上から二番目の脂肪をとることで、この4層の厚みを少なくし、痩せたように見せています。

脂肪吸引したからといって、脂肪がなくなったところが空洞になるわけではなく、下にある筋肉の層と一番上にある皮膚の層がくっつこうとします。これを癒着といいます

顔の脂肪吸引で術後にフェイスバンドを絶対にしなければいけない理由というのは、フェイスバンドで外圧をかけて癒着をしっかりさせないと、空洞が完全に埋まらず脂肪吸引の効果が出ないからというのは、以前の記事でもお伝えしました。

そして、癒着がうまくいくとその過程で必ず拘縮が起こります。骨折をすると以前より骨が太くなったりとか、切り傷の跡が固くなったりとかをイメージすると良いでしょう。人間の体というのは、引き離されたものをくっつけようという能力が働くので、その過程で一時的に強く引っ付け合うことで起こるのが拘縮です。だから、拘縮はむしろ治癒がうまくいっている証拠ですし、必ず一定期間経つと消えるので安心していただければと思います。

拘縮が起きるタイミングと他の疾患との見分け方

拘縮が起きるのは術後約2週間以降です。つまり、術後2週間以降に患部が硬くなるのは、拘縮なので心配しなくて良いということになります。逆に術後1週間や数日で、患部に何かしらの違和感が出ている場合は、拘縮以外の可能性があるので病院に診てもらったほうが良いです。

術後に発生しやすい危険なトラブルが血腫です。術後早ければ翌日くらいには発生し、押すと痛んだり発熱を伴ったりします。このような症状があったらすぐに病院を受診しましょう。拘縮は、よほど強くおさなければ痛みはありませんし、発熱も起こらないので、明確に見分けをつけることが可能です。

こんな場合も焦らないで

顔を小顔にしたり、ほうれい線を解消する目的で手術をしたのに、術後に以前よりも膨らんでいる気がする、これは手術ミスではないか、と心配される方がいます。一旦落ち着いてください。その膨らみ、拘縮の可能性が高いです。

前述した通り、拘縮は患部が問題なく癒着の進む過程で必ず発生します。例えばほうれい線解消のために行うナゾラビアルファット除去でも、癒着が進む過程で該当箇所が固くなるため、固くなった箇所が膨らんで見えることがありますしかし、この膨らみはあくまで拘縮によるものであるため、必ず3ヶ月から半年程度で消えます

ナゾラビアルファットの他にもメーラーファット、顎下の脂肪除去は特に拘縮が起きやすいです。10ヶ月や1年程度経っても膨らみが消えない場合は、脂肪の取り残し等によるものの可能性が高いですが、半年以内であれば拘縮によるものがほとんど。焦らず消えるのを待ちましょう。

拘縮の対処法

拘縮は3ヶ月〜半年で自然と消えますし、患部に拘縮ができているかどうかは他人から見てもまずわかりません。

しかし、どうしても気になる場合の対処法はこの2つ。

・インディバやヒーライトの施術を受ける

・睡眠、入浴、食事で体の回復力を高める

内容について解説します。

インディバやヒーライトの施術を受ける

高周波による温熱療法であるインディバ、近紫外線照射によるアンチエイジングを行うHEALITEなどは、拘縮の解消が早くなる効果があります。注意点としては、必ず術後1週間以降から始めること。それ以前だと、患部に悪影響が出るリスクがあります。

睡眠、入浴、食事で体の回復力を高める

ありきたりではありますが、睡眠をたっぷりとり、入浴して血流を良くするのは拘縮の治りを早くします。また、食事も重要で、タンパク質を多く取ることを心がけましょう。脂肪や皮膚の素になるアミノ酸はタンパク質から構成されているからです。タンパク質が多く含まれている肉や魚、豆腐等を多めに取るように心がけたり、コンビニ等でも売っているプロテインドリンクを毎日1本飲む等がオススメです

拘縮が起きたときにやってはいけないこと

拘縮が起きたら、上記の方対処法を除いては、基本的に患部を触らず放っておくのが一番です。特に

・拘縮部分を含めて患部をマッサージする

・拘縮があるのに、近い部分を整形する

上記のようなことは、何も良いことがありませんので、行わないように気をつけましょう。
理由を解説します。

拘縮部分を含めて患部をマッサージする

拘縮が起こっているということは患部は再生中です。再生中の患部を不用意に刺激すると拘縮が強まったり治りが遅くなったりします。美顔器等でゴリゴリ刺激するなどもってのほか。私は常々「顔は豆腐のようなもので、触れば触るほど形が崩れる(たるむ)」と提唱しています。絶対に拘縮部分をマッサージしてはいけません

特に顔の脂肪吸引は糸リフトと併用することが多いです。
マッサージによって、糸リフトがずれてしまったり、馴染みづらくなる可能性があるので注意しましょう。

拘縮があるのに、近い部分を整形する

記事をご覧の方の中には、月一程度どこかしらの施術をしている方もいるかもしれません。全く関係のない箇所であれば良いのですが、顔面の近い箇所を連続で施術するのはやめましょう。拘縮箇所の刺激が良くないのに加え、拘縮しているイコール皮膚の内部が固くなっています。そのため、吸引管が通りにくく、結果として、取るべき箇所の脂肪が取りきれないということが起こり得ます。

拘縮は焦らず気長に待ちましょう

拘縮は細胞が患部を再生するために起こる、自然の摂理です。基本的には一時的な硬さやひきつれが発生するだけなので、焦らず気長に待っていれば大丈夫。もちろんどうしても気になる場合は、執刀医に相談するべきですし、自己判断で別の病院で整形手術を受けにいくのはやめましょう。

監修者

院長柳川 央徒

【バブみ輪郭】
数ヶ月先まで予約が取れない、日本で唯一 "バブみ"に特化した輪郭整形専門医。
小顔治療通算3000例以上。
他院修正、著名人も、多く担当。